「文化を尊重する」と「文化を受入れる」バランスの難しさ
今回は、いつもに比べて少し真面目な話をしようと思います。
そして珍しく青年海外協力隊の活動中のエピソードです。
私の青年海外協力隊の活動内容
JICAの青年海外協力隊としてペルーの首都リマにあるプラネタリウムで天文学の普及活動を行っております。学校教育向けの施設で、幼稚園~大学生を対象にしています。
私がプラネタリウムで約半年働いて感じたことは、
とても真面目で面白くない・・・
です。
ひたすら説明。いっさい笑いもない。
こんな真面目で一体だれが宇宙に興味もつんだよ!!!!!!!
って常に感じます。
ペルーは勉強は真面目、勉強に面白みは必要ないと考えるみたいです。職員も、もう少し子供たちが好きそうな内容にしたいようですが、ペルーの固定概念に縛られてなかなか変われないようです。
と言うことで、現時点で私に求められている事は「子供たちがもっと興味持てるようにかわいくすること」です。
折り紙で飾りつけ
今積極的に行っていることは、折り紙でプラネタリウムを飾りつけです。
私の職場は、カラー印刷ができない&多色マーカーがありません。(黒・赤・青のみ)
予算の関係で、カラー印刷もマーカーを買い足すことも難しいようです。こういう時に、ハッとペルーは途上国だったと思いだします。なんのためにボランティア来ていることやら…。
そこで、色を使うには折り紙が手っ取り早いです。ちなみに、折り紙はリマに売っています。
それに折り紙は、ペルーの人からすると「繊細で魅力的」&「ザ・日本」というイメージのため、注目してもらうにはもってこいです。職場の人も、折り紙かっこいい!と大絶賛です。
折り紙アルファベット
プラネタリウムに掲示板がありますが、印刷した紙をそのまま掲示しているだけで全く見る気の起きない質素な掲示板になっています。
そのため、アルファベットを折り紙で折り、可愛くしようと思いました。
こんな感じで。
なんて書いてあるか読めますか?
答えは、「PLANETARIO」。スペイン語でプラネタリウムです。
私は、折った身なので普通に読めるのですが、職場の人はなんて書いてあるか読めませんでした。
白い部分が邪魔をして、アルファベットと認識できなかったようです。
そのため、白い部分を切ってくれとお願いされました。
ただ、私としては白い部分を切ったら折り紙の意味がないし、一枚の紙からアルファベットが折れるということを知ってもらいたかったので、拒否しました。
(そもそも折り紙のため、ノリで貼付けたものの白い部分を切ったところで文字をキレイに維持できません。)
職場の人も、私がせっかく折ったものなので採用したい気持ちを表してくれましたが、
読めないから採用できないとのことでした。
手先が不器用ながら頑張って折ったけれど、読めなかったら仕方がない。残念だけど、この案はボツか…。
と納得しました。
職場の人からまさかの提案
そして、職場の人から、「日本語で書いてくれ」と頼まれました。
ん・・・・・・・・?????
日本語・・・・・・・・?????
それ、どのみち読めないじゃん!!!
と普通に冷静にツッコみました。
彼らの言い分では、日本語で書いてあるとかっこいいからみんな注目するとのことでした。
私もボランティアの身、自分の意見を押付けすぎず職場の人の意見を尊重したいです。
私にはわからない、ペルー人には共通の日本語かっこいいという感性にヒットするなら日本語にしますよ。
って感じでした。
確かに日本人も、無駄にアルファベット多用するし、似たようなもんかなと。
日本語で書いたもの、まさかの不採用
そこで私は「プラネタリウム掲示板」と書きました。手書きで。習字っぽくと注文があったので、黒マーカーで。
すると、まさかの不採用。
日本語にしろ言うたん、君らやん!
とツッコまずにはいられませんでした。
理由は、プラネタリウムがカタカナなのがダサい。漢字が良い。
はい???????なめてんの?????
って感じですよ。
すべて漢字にしたらご満悦
プラネタリウムは別名「天象儀」らしいです。
そこで「天象儀掲示板」と印刷して見せたら、職場の人に見せたらご満悦。(書く気、おきませんでした。)
これこれ!めっちゃかっこいい!ありがとう、えいこ!
ってな感じです。
喜んでくれてよかったと言えばよかったです。
後味の悪いやり取り
正直、私からすると、
「読めない」を理由に折り紙アルファベットを不採用にされ、
「読めない」から日本語が良いと言われ、
「かっこわるい」からすべて漢字にしてと言われ、
不自然な日本語が「かっこいい」から採用され、
素直に納得できませんでした。
きっと折り紙アルファベットのくだりがなかったら、ここまでイライラすることはなかったと思います。
漢字が良いなら中国人に頼んでくれ。ひらがな・カタカナ・漢字を使うのが日本語。
ペルー人からすると日本も中国も似たようなものかもしれないけれど、当事者からすると全然違う。
全部漢字の方が良いという感覚でカタカナを不採用にするのは日本語に対して失礼だ。
と職場の人に伝えました。
言葉にするのは難しいですが、
「日本語を採用する」と言うことで日本に歩み寄っているように見せかけて、全力で日本を否定されたような感覚になりました。
職場の人は依然として、かっこわるいものはかっこわるいというスタンスで変わりませんでした。
ちなみに、プラネタリウムは日本人である石塚睦博士が建てられ、以前までその息子さんが働いていらっしゃいましたし、今までに2人のJICAボランティアも活動しているので、職場の人は日本に理解は示してますし、日本語がひらがな・カタカナ・漢字から成り立っていることも知っています。
そのような中での、今回のやり取りだったので私としてはショックでした。
「文化を尊重する」と「文化を受入れる」
ある程度、他文化を受け入れるには自分化にアレンジした方が良いと思います。でなければ、異質すぎて拒否反応を示してしまうからです。
今回の場合だと、折り紙アルファベットは馴染みがないけど漢字は馴染みがある。
ただ、その自文化にアレンジも行き過ぎると他文化に対して失礼になってしまうことがあるんだなと今回を機に学びました。
今回の場合だと、カタカナがかっこわるいから漢字に変える。
私も普段はペルーの不満ばかり言っています。運転荒すぎ、時間にルーズすぎ、ぼったくりすぎ、米とじゃがいも食べすぎ、糖分摂りすぎ、イベントに本気すぎ等々。
私としては日本とペルーの違いで、未だに慣れないことを口にしているだけですが、もしかするとペルー人が聞いたらショックを受ける内容かもしれません。
些細なこと、他愛のないことだと思っても知らず知らずのうちに、ペルーに対して失礼な態度をとっているかもしれません。肝に銘じて、これからもペルー生活を楽しんでいきます!
「ペルーは地球の裏側。考え方が違って当然。むしろこんなに離れているのに同じだったら、世の中平和で戦争なんか起きないよな。」
と 文化の違いでイラついたら心の中で反芻しています。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。